PINKFOX 強制収容24

「ふ・・・ふふ、ふ、あははははっ!!あら可笑しいっ!!くっくくく・・・」
O氏の発言にPINKは部屋の天井が抜け落ちるか、という程の狂った高笑いをし、腹を抱えて笑い転げた。
(ついに・・・・狂ったのか?)
思わずO氏が怪訝したほど彼女は笑いその場に伏しなおも笑い続ける。
「・・・・何が可笑しい」
目をこすりながらPINKは言う。
「もう!おかしな事を言うからですよ(苦笑)!!くすくす・・・この何もない小娘を時の大臣が欲しいだなんて・・
こんなこっけいな!!きゃはははっ(笑)!!!」
またケラケラと笑うPINK。
だがO氏は付き合わずに真顔で言う。
「・・・見えすいた子芝居はよせ、PINKFOX。堕ちたとはいえ俺は政界のドン。言えよ。何をたくらんでいる?」
裏社会をもしゃぶりつくした男のどす黒い視線。
問い詰めるとPINKは真顔になり、ツカツカとO氏に詰め寄り言う。
その瞳には夜景が映り、ゆらゆらと揺れる現代の煩悩と黒光りする艶がまたO氏の心を捕らえて離さない。
深紅のドレスで彼女は決してO氏を色香でなど誘惑しない。
真実のお願い事はいつもこの女、PINKFOXは相手の目をじっ・・・と見つめ続ける、ただそれだけなのだ。
目狐と呼ばれる女性や名うての女性は必ず自らの美貌と色気で女王蜂のように常に男性の上位に立ち虜に
してしまうのだが・・・いや、彼女もそうなのだが・・・そうなのだが本音を言う時だけは違った。
それは超一流の男たちだからこそ分かった領域なのかもしれないがこの純粋な瞳こそが彼女、PINKFOX
本来の魅力で分かっていても騙されてしまうものなのだ。
しかもO氏は本来自分を頼ってくる人間に非常に弱い親分肌な政治家。
彼程の大物であればゴマをすってくる者はいるし見返りを求めて近づいてくる者なぞ沢山いるが本音で
接してくれる人間など実はわずかしかいないものだ。孤独・・・
いつの世もトップとはそういう者なのかもしれないが彼女だけは違った。
いい寄って来る、顔が゛銭゛と書かれた厚化粧でいい寄って来る女達の群れ。
心無いおべんちゃら。その中に゛本音゛で語ってくれる唯一のやすらぎをくれた女、それが美智子、
PINKFOXだったのだ。
そんな姿に男たちは心打たれ情が生まれこの若い魔性の女は裏社会といえども信頼されてきたのだろう。
それが計算かどうか・・・O氏にも分からない。
だがもし計算だったとしたら彼女は、彼女は天性の男たらしなのだろうが・・・
とにかく嘘偽りのない身も心も裸になった彼女・・・
それに結局O氏は本当にPINKFOXが好きなのだ。
男を手玉に取る腹立たしさもあるが何か昔から憎めないのは彼女の性格の根っこに゛裏゛がないから・・・
けなげでありはかなげでもあり実は抱くと溶けてしまう程に華奢な体・・・
「守りたい」という一心もある。
囲ってしまえば外にいるより命の危険はないだろう。
だがヤスシの愛も囚人リョウタの愛もO氏の愛も同じようでいて違う。
美智子は分かっていた。
その本質がなんなのかを・・・
O氏とPINK。
長い沈黙の後、PINKはゆっくりとO氏に近づきやがて手を取る。
震えていた。
(・・・・・・・・・・・・・・)
彼女が震えるなどほとんど記憶にない。
ソレに堅固なO氏もついに折れる。
ドス黒い目が消え初老のいかつい老人がそこにいた。
何かがまだある・・・
分かっていた。罠?
かも知れない。
瞳から伝わる彼女の必死さは尋常ではない。
あるいは単に恐怖心からくるものかも知れないがもう・・もうO氏は自分を押さえる事が出来なかった。
なんせ久しぶりなのだ。
ガウン越しに感じる彼女の細い体、ドレスを通して伝わるぬくもりと発情して突起した乳首、悩ましい股間・・・
ジルサンダーの香水の匂いと共に立ち込める極上の一品、芳醇、優雅にして恥女、可憐にして濃厚・・・
もはや耐える事などできるはずがない!
「・・・PINKっ!!」

ガシャン!!

床に落ち、割れるグラス。
PINKFOXをギュッと抱きしめたO氏はむしゃぶりつき、彼女のつぶらで小さな唇にバキュームキスをした。
深紅のドレスと合わせた深紅のマニキュアにイヤリング、そして深みあるボルドーレッドのルージュはO氏の
強引なキスを受け舌を入れ返し、やがて押し倒されたPINKはO氏の太い首に細い腕を絡ませる。

「あ・・・」

ついに長い夜の幕開けだ。
そばにはこぼれた高い酒と徐々に脱がされていく彼女の深紅のシルクドレスが舞うように波うつ。
野獣と桃色狐。
ついに折れたO氏の激しい愛撫を受けながら魔性の女PINKFOXは暗闇の中、ニヤリと笑った。


                                                              25に続く